水棲動物の浮世絵画像を貼ってみる
2010-04-21 水棲動物の浮世絵画像を貼ってみる
2 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
11:14:47.85 ID:7FGzVyJC0
では、まずは魚系から。
【金魚】
歌川国芳:金魚づくし/百ものがたり
歌川国芳:金魚づくし/酒のざしき(座敷) 歌川国芳:金魚づくし/にわかあめんぼう
4 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
11:27:12.60 ID:7FGzVyJC0
歌川国芳:似たか金魚(団扇絵)
この作品は、天保の改革の際に
役者絵の版行が禁止された際の作品。
金魚や亀の顔が役者の似顔絵になっており、背中の模様も、
それぞれの役者の紋所になっているので、当時の江戸庶民は
絵を見ればどの役者かすぐに分かったと思われる。
6 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
12:15:35.88 ID:7FGzVyJC0
【鯉】
歌川国芳:坂田怪童丸(金太郎)
歌川豊国(3代目):大工 六三
鯉は生命力が強く、滝を登って龍になると伝えられたように、
それと格闘する者は勇者と認められた。
「大工 六三」は大工町の六三郎の事で、歌舞伎
「太平記菊水之巻」の中において六三郎が鯉との格闘を
演じて以降、鯉掴みが芝居の中に取り入れられることが
多くなった。
7 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
13:20:24.92 ID:7FGzVyJC0
葵岡北渓:鬼若丸(摺物)
歌川国芳:<鬼若丸と大緋鯉> 月岡芳年:一魁随筆/西塔ノ鬼若丸
鬼若丸は武蔵坊弁慶の幼名で、
比叡山西塔の稚児であった時の名前。
比叡山の古池に棲み、人に害をなす巨大な鯉を
一人で退治したという。
なお「摺物」(すりもの)とは、
1枚刷りの非売品の配り物の浮世絵。
あくまでも、お金を掛ける事ができる注文制作の配り物で
あるため手間を掛け、雲母や金・銀などを使う事により、
市販の浮世絵とは違い非常に豪華な作りになっている。
11 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
13:46:42.14 ID:7FGzVyJC0
南総里見八犬伝(作:滝沢馬琴/画:柳川重信)初編口絵より
巨大な鯉に跨るのは、南総里見八犬伝の主人公である、
里見義実(よしざね)。
結城合戦に破れ安房へと落ち延びた義実は、館山城主・
安西景連(かげつら)より「安西家では出陣の際には軍神に
鯉を備えることになっている。3日のうちに貴殿みずから
鯉を釣り上げて来い。万が一、守れなかった場合は和議の
意志がないものとみて容赦なく処置する。」との約定を
課せられる。
しかし、安房一帯はどこへ行っても鯉がいない土地柄であり、
景連はそれを見越して申し付け、約束を果たさない義実の
首をはねようという悪辣な魂胆だった。
そうとは知らぬ義実は毎日川に足を運び、朝から晩まで糸を
垂れ竿を握ったものの、3日経っても鯉がかかるはずはなく
気を落としている義実に、一人の乞食風の者が近寄り、
この土地には鯉はいないことを伝え、義実は、ここで
はじめて景連の魂胆に気付く事となった。
そしてこの乞食風の者は、実はかつて安房の滝田の城主に
仕えていた金碗八郎孝吉(かなまりはちろう たかよし)
であり、淫婦の玉梓(たまずさ)の色香と酒に溺れ、
政治に手がつけられない状態に陥った滝田に見切りを
付けた孝吉は、里見義見とともに安房の国を平和に戻し
たいと迫り、義実は暫く考えた末、一緒に旗揚げしていく
決心をしたのであった。
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]
投稿日:2010/04/20(火) 00:15:51.47 ID:jDNC8XHeO
浮世絵いいな
携帯の待ち受けに使いたくなるわ
ところで>>6の一枚目みたいな力強いヤツって他にもない?
スレタイに反するが水棲生物じゃなくてもいいので
>>1のイチオシ!が見たい
欲を言えば>>6の人無しverが…ゲフンゲフン
79 名前:1[] 投稿日:2010/04/20(火)
00:31:07.69 ID:R9VTB9Kb0
>>73
…そうですねー。自分は基本的に満遍なく好きなので、
これぞ! というのが無かったりするんですが…(汗)
また、鯉だけのもので…という事になりますと、
小さい画像のものしかない&あんまり激しい絵は無いんですが
それで宜しければ貼らせていただきますが…いかがしましょ?
あと、とりあえず、画面いっぱいに描かれてる力強いヤツで…
という事でしたら、次に挙げますヤツの1枚目などでしょうか
ねぇ…。
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]
投稿日:2010/04/20(火) 00:36:04.93 ID:jDNC8XHeO
>>79
全然構わん!
むしろ有りがたくて泣く
82 名前:1[] 投稿日:2010/04/20(火)
00:58:15.43 ID:R9VTB9Kb0
>>80
では、まず お先にこちらをば…。
歌川貞秀:魚づくしの内/もいでこい(団扇絵)
葛飾戴斗(二代目):鯉魚(貼交絵)
84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]
投稿日:2010/04/20(火) 01:03:22.20 ID:jDNC8XHeO
>>82
ありがとぉぉぉおおふぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!
16 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
14:14:59.67 ID:7FGzVyJC0
【鯰】
歌川国芳:<鯰図>
河鍋暁斎:富士越の鯰(「暁斎漫画」より)
「富士越の鯰」…空を飛ぶ鯰と猫は、官吏と芸者が
富士山で象徴される日本を支配するという意味であり、
明治時代当時の待合政治を風刺した作品。
鯰:黒い服を着て鯰髭を生やした官吏を表す。
猫:即ち三味線の皮となる事から芸者を示す。
18 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
14:49:27.20 ID:7FGzVyJC0
絵師不詳:しんよし原(新吉原)大なまづゆらひ(由来)
絵師不詳:
<あら嬉し 大安日に ゆり直す 御世は千秋 御万歳楽> 絵師不詳:繁昌たから船
これらの作品は、安政の大地震による社会の混乱と
直後の建設ブームを風刺した「鯰絵」の一部。
地震を起こす鯰を、鹿島大明神が要石(かなめいし)で
暴れぬよう押さえているという俗信から、地震の元凶である
鯰を題材にしている。
なお、当時禁じられていた無届出版によるものなので、
改印(検閲印)、版元名、絵師の名前は一切記されていない。
「繁昌たから船」は、宝船に乗る七福神を復興景気で儲けた
者たちに置き換えてあり、大工、土方、鳶職、屋根葺き、
遊女、瓦版売り、左官…となっており宝船の本体が大鯰、
帆は倒れそうな土蔵を棒で押さえている…という形に
描かれている。
24 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
15:42:13.16 ID:gxsTcq9M0
今度は広重の魚尽くしのシリーズから…
歌川広重:鯛に山椒
歌川広重:縞鯛・あいなめ に南天
歌川広重:いなだ・河豚に梅
27 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
17:01:03.61 ID:gxsTcq9M0
歌川広重:鮎
歌川広重:鯒(こち)に茄子
歌川広重:伊勢海老・芝鰕
歌川広重:鮑・さよりに桃花
29 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
17:34:22.46 ID:gxsTcq9M0
【鯛】
月岡芳年:美勇水滸伝/炎出見命(ほほでみのみこと 炎出見命(山幸彦)は、兄の火照命(海幸彦)から大事な
釣り針を借りるが、それを海で失くしてしまう。兄の怒り
を解くため、炎出見命は針を尋ねて龍宮にたどり着き、
主の豊玉姫と結ばれ、釣り針を探し出し、潮の満ち干を
自在に操る干珠・満珠の二つの玉を得る。
図は失くした釣り針を赤鯛の喉から見つけ出し、
それにまたがった炎出見命。
30 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
17:54:32.90 ID:gxsTcq9M0
【河豚】
歌川国芳・歌川広重・三代歌川豊国(英一螮 名義)
貼交絵(八犬伝芳流閣/河豚に葱/上利剣)
当時の浮世絵界の三大巨匠による合作作品。
それぞれの持ち味に注目。
33 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
18:16:28.14 ID:gxsTcq9M0
お次は国芳の作品をいくつか。
歌川国芳:萩に鮎
歌川国芳:河豚に赤えい/金魚にめだか
歌川国芳:岩に取り付く蛸/杭に寄る鮒
歌川国芳:魚の心
「魚の心」は前出の「似たか金魚」と同様の、
役者似顔絵作品。
ただし、前出作と違い胴の部分等にヒントとなる紋所等が
入っていないので各々の魚がどの役者であるかを読み解く
のは、専門の研究者以外には難解。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2010/04/19(月) 18:24:45.10 ID:O1f1jEpu0
わーいわーい!!昨日きんぎょくれって言ってた者です。
>>1さんありがとう!!
金魚尽はやっぱ最高にかわいいわぁ…
東京国立博物館では金魚尽のグッズ売ってくれてて
個人的に超ありがたい。
全体的に江戸終わりくらいの作品が多いけど、
初期の浮世絵にはあまり興味ないの?
40 名前:1:2010/04/19(月)
19:24:40.28 ID:gxsTcq9M0
>>35
…そうですねー、もともと幕末の浮世絵から入った人間なので
そっち方面の資料に偏ってしまう…というのは確かにありますが、
実際のところ、あまり古い時期の作品ですと、こういった感じに
大きく画題として扱ってるのがあんまりないような気がしなくも
ないんですが、多分興味が無いからというので見落としてるだけ
だと思います…(;´Д`)
パッと思いつくのは、歌麿の作品の貝を描いた
「潮干のつと」とか「教訓親の目鑑」の「俗ニ云ばくれん」
で娘さんがもってる蟹とか…
http://www.ndl.go.jp/exhibit/50/html/wa32-7/mokuji.html
42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2010/04/19(月) 19:33:45.54 ID:O1f1jEpu0
>>40
? 確かに幕末の錦絵は見てて楽しいのが多いしね。
文化的に成熟が進んで人物メイン画→それ以外
(風景や文物・動物等)に
視野が広がって遊び心全開って感じ。
同時期の工芸作品とか見ててもそんな感じのが多い気がするわ。
でも趣味でこんだけ集めてるのはすごいね!
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2010/04/19(月) 18:52:45.16 ID:Hgu1TWv70
府中の美術館で歌川国芳特集やってるよー
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
前スレのネコとか金魚とか鯨のやつとか
生で見られますぜ旦那。
鯨はかなり大きいから是非 生で見てくれ
ていうか もしかして、
貼り主は美術館の中の人だろうか・・・
今回の展示品と貼ってある絵がかぶってるのは
当たり前なんだろうけど・・・
>>36
いえいえ、
自分はそのテの関係職の人間ではございませんですよー。
単なる一介の浮世絵ファンですので、ハイ(^^;
37 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
19:07:23.25 ID:gxsTcq9M0
【擬人化された魚たち】
歌川国芳:龍宮玉取姫之図
歌川国芳:玉取り(海女と大蛸)
落合芳幾:龍宮の日待
「龍宮玉取姫之図」:藤原鎌足の娘は唐の皇帝の妃となり、
面向不背の宝玉を父へと送ったが、その途中、
讃岐国志度の沖において竜神に奪われてしまう。
諦め切れない鎌足は、志度の海女と契り、
玉を取り戻すように頼む。
海女は海に潜り龍宮から宝玉を奪い返すが、龍神を守る
竜や眷族に追われ自らの乳房の下を掻き切って玉を隠し、
からくも鎌足の下へと帰還するがここに至り、海女は
腹中の一子の事を鎌足に頼み死んでいったのだった。
「龍宮の日待」:日待とは本来、前の夜から体を清めて
日の出を待って拝むことだが、例えば農村では田植えや
稲の取り入れが終わった後など、仕事がひと区切りついた
時に隣近所の人たちが集まって会食し、世間話などする会
という意味に使われた。
43 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
19:41:11.68 ID:gxsTcq9M0
【子供向け魚尽くし】
歌川芳豊(2代目):新ぱん うをつり(魚釣り)両めん合
さて、魚系はひとまずここらまでにしまして、
お次は鯨をば。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2010/04/19(月) 20:27:12.08 ID:ag4ORmp90
食休み用、北斎漫画
なんかヘン
51 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
20:37:02.02 ID:RoQ1zYIe0
では、前言通り鯨をば。
【鯨】
歌川国芳:大漁鯨のにぎわひ
歌川国芳:七浦大漁繁昌之図
歌川広重(2代目):諸国名所百景/肥前五嶋鯨漁の図
歌川広重(3代目):大日本物産図会
/壱岐国鯨漁之図・同 神楽桟にて引揚図 53 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
21:00:59.16 ID:RoQ1zYIe0
ではこれより甲殻類に移ります。
【海老】
歌川国芳:禽獣図絵/大鵬・海老
胴回り、翼の長さ共に千里(3 927.27273 キロメートル)
という想像上の巨鳥である大鵬が、怒涛に浮かぶ、
自身よりも更に巨大な海老の髭に止まるという、
特大スケールの場景を描いたもの。
58 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
21:25:42.77 ID:RoQ1zYIe0
【蟹】
葛飾北斎:<蟹尽くし図>(肉筆画)
岳亭春信:梅に弁慶蟹(摺物)
歌川国芳:東都・首尾の松之図
「東都・首尾の松之図」:首尾の松は、
隅田川西岸の蔵前付近にあった名木。
吉原へ猪牙船で出掛ける客が、廓での一夜が首尾よく行く
事を、このあたりで念じた事からその名がついたと伝え
られているが、この作品では画面の右奥に僅かに見える
程度に描かれている。
61 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
21:57:56.59 ID:RoQ1zYIe0
歌川国芳:大物之浦海底之図
歌川国芳:程義経恋源(ほどよしつね こいのみなもと) 月岡芳年:文治元年平家の一門海中落入る図
歌川国芳:島村弾正高則
「大物之浦海底之図」「程義経恋源一代鏡」:
兄、頼朝と不和になり西国へ渡ろうと、摂津国の大物の浦
から船出した義経一行だったが、俄かに黒雲が湧き、嵐が
吹き起こり、壇ノ浦で滅ぼされた平家の怨霊が現われ、
行く手を阻んだ。平知盛の亡霊が薙刀を振りかざして襲い
掛かり、義経は刀を抜いて戦おうとするが、これを弁慶が
「打物業にては叶うまじ」と押し止め数珠を取り出し一心
に祈祷し、法力によって亡霊を退散せしめた。
「文治元年平家の一門~」:月岡芳年が15歳(!)で
デビューした時の初作。
「島村弾正高則」:享禄4(1531)年、浦上村雲が
細川晴元と摂州で合戦した折りに浦上の臣、
島村 弾正左衛門 貴則が敵を両脇に抱えて入水したが、
その霊魂が蟹と化して「島村蟹」になったと伝えられる。
65 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
22:18:56.10 ID:RoQ1zYIe0
【ヤドカリ】
河鍋暁斎:<ヤドカリ図>(「暁斎楽画」より)
66 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
22:49:52.24 ID:RoQ1zYIe0
お次は軟体動物の蛸を。
(※ただし北斎の春画は貼りません)
【蛸】
歌川国芳:有王丸
歌川国芳:源氏雲浮世絵合/玉葛・玉取蛋
歌川国芳:流行 蛸のあそび
歌川国芳:<蛸と熊の相撲>(団扇絵)
「有王丸」:有王丸(蟻王とも)は、鹿ヶ谷の陰謀の露見に
よって鬼界ヶ島へと配流された俊寛(しゅんかん)僧都の
後を追い、赤間ヶ関から九州へと渡る途中
船に襲い掛かった大蛸の足を斬って難を逃れる。
「源氏雲浮世絵合/玉葛・玉取蛋」は、
前述の志度の浦の玉取りの海女。
69 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
23:19:25.52 ID:RoQ1zYIe0
続きましては、両生類へと参ります。
【蛙】
歌川国芳:うきよどふけかへる尽(浮世道外蛙尽)(団扇絵)
河鍋暁斎:風流蛙大合戦之図
河鍋暁斎:不可和(かわず)合戦之図
河鍋暁斎:忠臣蔵十段目の見立他(「暁斎漫画」より)
「うきよどふけかへる尽」:左から「煮え返る」
「屋根を葺き替える」「飴と取り替える」「張り替える」
「あきれ返る」「入れ替える」
「風流蛙大合戦之図」は長州征伐の風刺画。
右側の軍勢の大砲の車に見える紋は紀州徳川家の裏紋である
六葉葵であり、左側の軍勢の陣幕の紋は、毛利家の紋である
沢瀉(おもだか)となっている。
また、「不可和(かわず)合戦之図」は、
西南戦争の風刺画で右側が西郷軍。
70 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
23:41:06.20 ID:RoQ1zYIe0
【イモリ/井守】
歌川国芳:本朝水滸伝剛勇八百人一個/岩沼吉六郎 信里
【サンショウウオ/山椒魚】
歌川国芳:半上弾正忠 新景
「岩沼吉六郎 信里」:出典・典拠については不詳。
「半上弾正忠 新景」:「絵本武者飛馬始」(天明8年)に
みられる富士川における人を食う魚である「はんざけ」
退治が元ネタと思われる。
なお、「はんざけ(ハンザキ)」はオオサンショウウオの
別名であり、「半分に引き裂いてもまだ生きている」
という意味による異称。
71 名前:1[] 投稿日:2010/04/20(火)
00:12:59.58 ID:R9VTB9Kb0
では、最後に爬虫類へと参ります。
【亀】
歌川広重:名所江戸百景/深川萬年橋
歌川国芳:木曽街道六十九次之内/福島・浦島太郎
歌川国芳:亀喜妙々(ききみょうみょう)
「名所江戸百景/深川萬年橋」:画面内に吊られている亀は
「放生亀」といい、生き物を買い集めて逃がすと死後、
極楽へ行けるという仏教の「放生会」の儀式に因んで
江戸で盛んに行われていた「放し亀」を描いたもの。
「木曽街道六十九次之内」:作品内で採り上げられている
宿場・木曽福島には浦島太郎の伝説が伝えられており、
龍宮から帰ってきた浦島太郎は、諸国遍歴の後木曽へと
辿り着き、寝覚の床の景勝を気に入って住み着き、釣り
三昧の生活を過ごしたがある時、里の人に龍宮城の話を
した際に玉手箱を開けると、たちまち300歳の老人となり
そのまま、いずこかに姿を消したという。
「亀喜妙々」:こちらも前出のような、
天保の改革時に版行された役者似顔絵。
似顔と甲羅の紋の描写により、それぞれの役者が
誰で有るのか判別する事が出来る。
なお、大きく描かれている亀ほど、
描かれた当時において人気のあった役者となっている。
74 名前:1[] 投稿日:2010/04/20(火)
00:22:15.71 ID:R9VTB9Kb0
月岡芳年:芳年漫画/浦嶋之子帰国従龍宮城之図
河鍋暁斎:<蟹の軍談>
85 名前:1[] 投稿日:2010/04/20(火)
01:17:35.74 ID:R9VTB9Kb0
では、最後に真打というか何と言うかですが…
【ワニ/鰐】
歌川国芳:本朝水滸伝剛勇八百人一個/宮本無三四(武蔵)
歌川国芳:英雄日本水滸伝/宮本無三四
歌川芳員:濃集穴間山中ニ而山鮫退治之図
宮本武蔵は美濃国の穴間の山中で、今から人を取って喰らう
という鰐を退治しに向かう村人達に出会い、その後を追うと、
果たして谷底から鉄のような甲を持った鰐が現われた。
村人の放った鉄砲の弾も、頑丈な甲には全く効かない様子を
見た武蔵は、村人から鉄砲を奪い鰐の左の目を撃ち、続いて
右の目を突き通し、ついに鰐を退治した。
山の老人の話によると、藪の中の湿った落ち葉や、川辺の
朽ち葉が自然に魚に化すことはよく有る事で、この鰐も
そのようにして生まれたのであろうとされている。
なお、「英雄日本水滸伝/宮本無三四」の略伝では、
武蔵をひと呑みにしようとするところを拳で一撃して
打ち倒した後、即座に踏み殺したという記述がされている。
90 名前:1[] 投稿日:2010/04/20(火)
01:28:30.31 ID:R9VTB9Kb0
落合芳幾:東京日々新聞/六百九十七号
渡会県(現在の三重県)甲賀の浦に鰐が住み着き、
嵐の折に現われた。その姿は全身に海草や貝がこびり付き、
まるで岩のようであり、時折り船を転覆させ人を害した。
近頃(明治7年)いずこかの商船が甲賀の浦で船火事を出した。
火は一向に消えず、助けの船を呼ぼうとする中、例の鰐が
現われ海中に逃れていた人を呑み込んだ。
その余りの恐ろしさに、助けの船も近寄る事が出来ず、
とうとう商船は焼失し、一人の生存者も無いという、
まさに地獄絵図の有様であった、と。
92 名前:1[] 投稿日:2010/04/20(火)
01:45:52.38 ID:R9VTB9Kb0
さて、何だかんだで長々と水の中の生き物の浮世絵を
貼ってまいりましたが
今宵は〆にこちらを貼りまして
お開きとさせていただきます。
錦亭鳴虫:「水中魚論・丘釣話」挿絵より 「水中魚論・丘釣話」
(すいちゅうぎょろん・おかづりばなし)文政元年(1818)
戯作者・岡山鳥(おかさんちょう)が著したもので、
釣り文献では最古の刊本(かんぽん)である。
二人のヘボ釣り師のとぼけた釣り場風景だが、
途中から場面が変わって水の中の魚たちの対話になる。
「今日はヘタなやつばかりだなあ…」などと。
二ページにわたるさし絵が二ケ所。
「水中の一」は釣り師のおろした仕掛けにワッと群がる
小さなエサ取りたち。狙う大魚はせせら笑っている
…という絵。
そして「水中の二」が問題の作品である。大きなコイとフナ、
それに両てんぴんの仕掛けなどが正確に描かれているが、
驚くのは絵の下三分の一ほど。欠けた茶碗や皿、折れた
クシやカンザシなど底も見えないゴミの山なのである。
上からは布切れがゆらりと落ちてくる。
この目をそむけたくなるような墨刷りの木版画は、
まぎれもなく我が国の公害告発の絵の第一号なのである。
楽しいはずの釣りの本になぜこのようなおぞましい絵を
描いたのであろうか。
錦亭鳴虫という人、おそらくは不要な物をポイポイと水に
捨てる日本人の悪いクセを、苦々しく思っていたに違いない。
そして「釣り場を大切に」というメッセージだったので
あろう。見事な見識というべきである。
(釣りコラム:水辺の賢者たち-1-金森直治)
http://www.zenturi-jofi.or.jp/coram/coram3_1.htm
より転載
http://vipsister.blog72.fc2.com/blog-entry-679.html
http://hamusoku.com/archives/3070250.html
歌川国芳 (Utagawa Kuniyoshi, 1798 - 1861)
国芳画/" target="_blank">国芳画
2010年11月24日 浮世絵ウキウキ! ~ホラー編~
2 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
11:14:47.85 ID:7FGzVyJC0
では、まずは魚系から。
【金魚】
歌川国芳:金魚づくし/百ものがたり
11:27:12.60 ID:7FGzVyJC0
歌川国芳:似たか金魚(団扇絵)
役者絵の版行が禁止された際の作品。
金魚や亀の顔が役者の似顔絵になっており、背中の模様も、
それぞれの役者の紋所になっているので、当時の江戸庶民は
絵を見ればどの役者かすぐに分かったと思われる。
6 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
12:15:35.88 ID:7FGzVyJC0
【鯉】
歌川国芳:坂田怪童丸(金太郎)
それと格闘する者は勇者と認められた。
「大工 六三」は大工町の六三郎の事で、歌舞伎
「太平記菊水之巻」の中において六三郎が鯉との格闘を
演じて以降、鯉掴みが芝居の中に取り入れられることが
多くなった。
7 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
13:20:24.92 ID:7FGzVyJC0
葵岡北渓:鬼若丸(摺物)
歌川国芳:<鬼若丸と大緋鯉>
比叡山西塔の稚児であった時の名前。
比叡山の古池に棲み、人に害をなす巨大な鯉を
一人で退治したという。
なお「摺物」(すりもの)とは、
1枚刷りの非売品の配り物の浮世絵。
あくまでも、お金を掛ける事ができる注文制作の配り物で
あるため手間を掛け、雲母や金・銀などを使う事により、
市販の浮世絵とは違い非常に豪華な作りになっている。
11 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
13:46:42.14 ID:7FGzVyJC0
南総里見八犬伝(作:滝沢馬琴/画:柳川重信)初編口絵より
里見義実(よしざね)。
結城合戦に破れ安房へと落ち延びた義実は、館山城主・
安西景連(かげつら)より「安西家では出陣の際には軍神に
鯉を備えることになっている。3日のうちに貴殿みずから
鯉を釣り上げて来い。万が一、守れなかった場合は和議の
意志がないものとみて容赦なく処置する。」との約定を
課せられる。
しかし、安房一帯はどこへ行っても鯉がいない土地柄であり、
景連はそれを見越して申し付け、約束を果たさない義実の
首をはねようという悪辣な魂胆だった。
そうとは知らぬ義実は毎日川に足を運び、朝から晩まで糸を
垂れ竿を握ったものの、3日経っても鯉がかかるはずはなく
気を落としている義実に、一人の乞食風の者が近寄り、
この土地には鯉はいないことを伝え、義実は、ここで
はじめて景連の魂胆に気付く事となった。
そしてこの乞食風の者は、実はかつて安房の滝田の城主に
仕えていた金碗八郎孝吉(かなまりはちろう たかよし)
であり、淫婦の玉梓(たまずさ)の色香と酒に溺れ、
政治に手がつけられない状態に陥った滝田に見切りを
付けた孝吉は、里見義見とともに安房の国を平和に戻し
たいと迫り、義実は暫く考えた末、一緒に旗揚げしていく
決心をしたのであった。
73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]
投稿日:2010/04/20(火) 00:15:51.47 ID:jDNC8XHeO
浮世絵いいな
携帯の待ち受けに使いたくなるわ
ところで>>6の一枚目みたいな力強いヤツって他にもない?
スレタイに反するが水棲生物じゃなくてもいいので
>>1のイチオシ!が見たい
欲を言えば>>6の人無しverが…ゲフンゲフン
79 名前:1[] 投稿日:2010/04/20(火)
00:31:07.69 ID:R9VTB9Kb0
>>73
…そうですねー。自分は基本的に満遍なく好きなので、
これぞ! というのが無かったりするんですが…(汗)
また、鯉だけのもので…という事になりますと、
小さい画像のものしかない&あんまり激しい絵は無いんですが
それで宜しければ貼らせていただきますが…いかがしましょ?
あと、とりあえず、画面いっぱいに描かれてる力強いヤツで…
という事でしたら、次に挙げますヤツの1枚目などでしょうか
ねぇ…。
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]
投稿日:2010/04/20(火) 00:36:04.93 ID:jDNC8XHeO
>>79
全然構わん!
むしろ有りがたくて泣く
82 名前:1[] 投稿日:2010/04/20(火)
00:58:15.43 ID:R9VTB9Kb0
>>80
では、まず お先にこちらをば…。
歌川貞秀:魚づくしの内/もいでこい(団扇絵)
投稿日:2010/04/20(火) 01:03:22.20 ID:jDNC8XHeO
>>82
ありがとぉぉぉおおふぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!
16 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
14:14:59.67 ID:7FGzVyJC0
【鯰】
歌川国芳:<鯰図>
富士山で象徴される日本を支配するという意味であり、
明治時代当時の待合政治を風刺した作品。
鯰:黒い服を着て鯰髭を生やした官吏を表す。
猫:即ち三味線の皮となる事から芸者を示す。
18 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
14:49:27.20 ID:7FGzVyJC0
絵師不詳:しんよし原(新吉原)大なまづゆらひ(由来)
<あら嬉し 大安日に ゆり直す 御世は千秋 御万歳楽>
直後の建設ブームを風刺した「鯰絵」の一部。
地震を起こす鯰を、鹿島大明神が要石(かなめいし)で
暴れぬよう押さえているという俗信から、地震の元凶である
鯰を題材にしている。
なお、当時禁じられていた無届出版によるものなので、
改印(検閲印)、版元名、絵師の名前は一切記されていない。
「繁昌たから船」は、宝船に乗る七福神を復興景気で儲けた
者たちに置き換えてあり、大工、土方、鳶職、屋根葺き、
遊女、瓦版売り、左官…となっており宝船の本体が大鯰、
帆は倒れそうな土蔵を棒で押さえている…という形に
描かれている。
24 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
15:42:13.16 ID:gxsTcq9M0
今度は広重の魚尽くしのシリーズから…
歌川広重:鯛に山椒
17:01:03.61 ID:gxsTcq9M0
歌川広重:鮎
17:34:22.46 ID:gxsTcq9M0
【鯛】
月岡芳年:美勇水滸伝/炎出見命(ほほでみのみこと
釣り針を借りるが、それを海で失くしてしまう。兄の怒り
を解くため、炎出見命は針を尋ねて龍宮にたどり着き、
主の豊玉姫と結ばれ、釣り針を探し出し、潮の満ち干を
自在に操る干珠・満珠の二つの玉を得る。
図は失くした釣り針を赤鯛の喉から見つけ出し、
それにまたがった炎出見命。
30 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
17:54:32.90 ID:gxsTcq9M0
【河豚】
歌川国芳・歌川広重・三代歌川豊国(英一螮 名義)
貼交絵(八犬伝芳流閣/河豚に葱/上利剣)
それぞれの持ち味に注目。
33 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
18:16:28.14 ID:gxsTcq9M0
お次は国芳の作品をいくつか。
歌川国芳:萩に鮎
役者似顔絵作品。
ただし、前出作と違い胴の部分等にヒントとなる紋所等が
入っていないので各々の魚がどの役者であるかを読み解く
のは、専門の研究者以外には難解。
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2010/04/19(月) 18:24:45.10 ID:O1f1jEpu0
わーいわーい!!昨日きんぎょくれって言ってた者です。
>>1さんありがとう!!
金魚尽はやっぱ最高にかわいいわぁ…
東京国立博物館では金魚尽のグッズ売ってくれてて
個人的に超ありがたい。
全体的に江戸終わりくらいの作品が多いけど、
初期の浮世絵にはあまり興味ないの?
40 名前:1:2010/04/19(月)
19:24:40.28 ID:gxsTcq9M0
>>35
…そうですねー、もともと幕末の浮世絵から入った人間なので
そっち方面の資料に偏ってしまう…というのは確かにありますが、
実際のところ、あまり古い時期の作品ですと、こういった感じに
大きく画題として扱ってるのがあんまりないような気がしなくも
ないんですが、多分興味が無いからというので見落としてるだけ
だと思います…(;´Д`)
パッと思いつくのは、歌麿の作品の貝を描いた
「潮干のつと」とか「教訓親の目鑑」の「俗ニ云ばくれん」
で娘さんがもってる蟹とか…
http://www.ndl.go.jp/exhibit/50/html/wa32-7/mokuji.html
:2010/04/19(月) 19:33:45.54 ID:O1f1jEpu0
>>40
? 確かに幕末の錦絵は見てて楽しいのが多いしね。
文化的に成熟が進んで人物メイン画→それ以外
(風景や文物・動物等)に
視野が広がって遊び心全開って感じ。
同時期の工芸作品とか見ててもそんな感じのが多い気がするわ。
でも趣味でこんだけ集めてるのはすごいね!
36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2010/04/19(月) 18:52:45.16 ID:Hgu1TWv70
府中の美術館で歌川国芳特集やってるよー
http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/
前スレのネコとか金魚とか鯨のやつとか
生で見られますぜ旦那。
鯨はかなり大きいから是非 生で見てくれ
ていうか もしかして、
貼り主は美術館の中の人だろうか・・・
今回の展示品と貼ってある絵がかぶってるのは
当たり前なんだろうけど・・・
>>36
いえいえ、
自分はそのテの関係職の人間ではございませんですよー。
単なる一介の浮世絵ファンですので、ハイ(^^;
37 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
19:07:23.25 ID:gxsTcq9M0
【擬人化された魚たち】
歌川国芳:龍宮玉取姫之図
面向不背の宝玉を父へと送ったが、その途中、
讃岐国志度の沖において竜神に奪われてしまう。
諦め切れない鎌足は、志度の海女と契り、
玉を取り戻すように頼む。
海女は海に潜り龍宮から宝玉を奪い返すが、龍神を守る
竜や眷族に追われ自らの乳房の下を掻き切って玉を隠し、
からくも鎌足の下へと帰還するがここに至り、海女は
腹中の一子の事を鎌足に頼み死んでいったのだった。
「龍宮の日待」:日待とは本来、前の夜から体を清めて
日の出を待って拝むことだが、例えば農村では田植えや
稲の取り入れが終わった後など、仕事がひと区切りついた
時に隣近所の人たちが集まって会食し、世間話などする会
という意味に使われた。
43 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
19:41:11.68 ID:gxsTcq9M0
【子供向け魚尽くし】
歌川芳豊(2代目):新ぱん うをつり(魚釣り)両めん合
お次は鯨をば。
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2010/04/19(月) 20:27:12.08 ID:ag4ORmp90
食休み用、北斎漫画
51 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
20:37:02.02 ID:RoQ1zYIe0
では、前言通り鯨をば。
【鯨】
歌川国芳:大漁鯨のにぎわひ
/壱岐国鯨漁之図・同 神楽桟にて引揚図
21:00:59.16 ID:RoQ1zYIe0
ではこれより甲殻類に移ります。
【海老】
歌川国芳:禽獣図絵/大鵬・海老
胴回り、翼の長さ共に千里(3 927.27273 キロメートル)
という想像上の巨鳥である大鵬が、怒涛に浮かぶ、
自身よりも更に巨大な海老の髭に止まるという、
特大スケールの場景を描いたもの。
21:25:42.77 ID:RoQ1zYIe0
【蟹】
葛飾北斎:<蟹尽くし図>(肉筆画)
隅田川西岸の蔵前付近にあった名木。
吉原へ猪牙船で出掛ける客が、廓での一夜が首尾よく行く
事を、このあたりで念じた事からその名がついたと伝え
られているが、この作品では画面の右奥に僅かに見える
程度に描かれている。
61 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
21:57:56.59 ID:RoQ1zYIe0
歌川国芳:大物之浦海底之図
兄、頼朝と不和になり西国へ渡ろうと、摂津国の大物の浦
から船出した義経一行だったが、俄かに黒雲が湧き、嵐が
吹き起こり、壇ノ浦で滅ぼされた平家の怨霊が現われ、
行く手を阻んだ。平知盛の亡霊が薙刀を振りかざして襲い
掛かり、義経は刀を抜いて戦おうとするが、これを弁慶が
「打物業にては叶うまじ」と押し止め数珠を取り出し一心
に祈祷し、法力によって亡霊を退散せしめた。
「文治元年平家の一門~」:月岡芳年が15歳(!)で
デビューした時の初作。
「島村弾正高則」:享禄4(1531)年、浦上村雲が
細川晴元と摂州で合戦した折りに浦上の臣、
島村 弾正左衛門 貴則が敵を両脇に抱えて入水したが、
その霊魂が蟹と化して「島村蟹」になったと伝えられる。
65 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
22:18:56.10 ID:RoQ1zYIe0
【ヤドカリ】
河鍋暁斎:<ヤドカリ図>(「暁斎楽画」より)
22:49:52.24 ID:RoQ1zYIe0
お次は軟体動物の蛸を。
(※ただし北斎の春画は貼りません)
【蛸】
歌川国芳:有王丸
よって鬼界ヶ島へと配流された俊寛(しゅんかん)僧都の
後を追い、赤間ヶ関から九州へと渡る途中
船に襲い掛かった大蛸の足を斬って難を逃れる。
「源氏雲浮世絵合/玉葛・玉取蛋」は、
前述の志度の浦の玉取りの海女。
69 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
23:19:25.52 ID:RoQ1zYIe0
続きましては、両生類へと参ります。
【蛙】
歌川国芳:うきよどふけかへる尽(浮世道外蛙尽)(団扇絵)
「屋根を葺き替える」「飴と取り替える」「張り替える」
「あきれ返る」「入れ替える」
「風流蛙大合戦之図」は長州征伐の風刺画。
右側の軍勢の大砲の車に見える紋は紀州徳川家の裏紋である
六葉葵であり、左側の軍勢の陣幕の紋は、毛利家の紋である
沢瀉(おもだか)となっている。
また、「不可和(かわず)合戦之図」は、
西南戦争の風刺画で右側が西郷軍。
70 名前:1[] 投稿日:2010/04/19(月)
23:41:06.20 ID:RoQ1zYIe0
【イモリ/井守】
歌川国芳:本朝水滸伝剛勇八百人一個/岩沼吉六郎 信里
歌川国芳:半上弾正忠 新景
「半上弾正忠 新景」:「絵本武者飛馬始」(天明8年)に
みられる富士川における人を食う魚である「はんざけ」
退治が元ネタと思われる。
なお、「はんざけ(ハンザキ)」はオオサンショウウオの
別名であり、「半分に引き裂いてもまだ生きている」
という意味による異称。
71 名前:1[] 投稿日:2010/04/20(火)
00:12:59.58 ID:R9VTB9Kb0
では、最後に爬虫類へと参ります。
【亀】
歌川広重:名所江戸百景/深川萬年橋
「放生亀」といい、生き物を買い集めて逃がすと死後、
極楽へ行けるという仏教の「放生会」の儀式に因んで
江戸で盛んに行われていた「放し亀」を描いたもの。
「木曽街道六十九次之内」:作品内で採り上げられている
宿場・木曽福島には浦島太郎の伝説が伝えられており、
龍宮から帰ってきた浦島太郎は、諸国遍歴の後木曽へと
辿り着き、寝覚の床の景勝を気に入って住み着き、釣り
三昧の生活を過ごしたがある時、里の人に龍宮城の話を
した際に玉手箱を開けると、たちまち300歳の老人となり
そのまま、いずこかに姿を消したという。
「亀喜妙々」:こちらも前出のような、
天保の改革時に版行された役者似顔絵。
似顔と甲羅の紋の描写により、それぞれの役者が
誰で有るのか判別する事が出来る。
なお、大きく描かれている亀ほど、
描かれた当時において人気のあった役者となっている。
74 名前:1[] 投稿日:2010/04/20(火)
00:22:15.71 ID:R9VTB9Kb0
月岡芳年:芳年漫画/浦嶋之子帰国従龍宮城之図
01:17:35.74 ID:R9VTB9Kb0
では、最後に真打というか何と言うかですが…
【ワニ/鰐】
歌川国芳:本朝水滸伝剛勇八百人一個/宮本無三四(武蔵)
という鰐を退治しに向かう村人達に出会い、その後を追うと、
果たして谷底から鉄のような甲を持った鰐が現われた。
村人の放った鉄砲の弾も、頑丈な甲には全く効かない様子を
見た武蔵は、村人から鉄砲を奪い鰐の左の目を撃ち、続いて
右の目を突き通し、ついに鰐を退治した。
山の老人の話によると、藪の中の湿った落ち葉や、川辺の
朽ち葉が自然に魚に化すことはよく有る事で、この鰐も
そのようにして生まれたのであろうとされている。
なお、「英雄日本水滸伝/宮本無三四」の略伝では、
武蔵をひと呑みにしようとするところを拳で一撃して
打ち倒した後、即座に踏み殺したという記述がされている。
90 名前:1[] 投稿日:2010/04/20(火)
01:28:30.31 ID:R9VTB9Kb0
落合芳幾:東京日々新聞/六百九十七号
嵐の折に現われた。その姿は全身に海草や貝がこびり付き、
まるで岩のようであり、時折り船を転覆させ人を害した。
近頃(明治7年)いずこかの商船が甲賀の浦で船火事を出した。
火は一向に消えず、助けの船を呼ぼうとする中、例の鰐が
現われ海中に逃れていた人を呑み込んだ。
その余りの恐ろしさに、助けの船も近寄る事が出来ず、
とうとう商船は焼失し、一人の生存者も無いという、
まさに地獄絵図の有様であった、と。
92 名前:1[] 投稿日:2010/04/20(火)
01:45:52.38 ID:R9VTB9Kb0
さて、何だかんだで長々と水の中の生き物の浮世絵を
貼ってまいりましたが
今宵は〆にこちらを貼りまして
お開きとさせていただきます。
錦亭鳴虫:「水中魚論・丘釣話」挿絵より
(すいちゅうぎょろん・おかづりばなし)文政元年(1818)
戯作者・岡山鳥(おかさんちょう)が著したもので、
釣り文献では最古の刊本(かんぽん)である。
二人のヘボ釣り師のとぼけた釣り場風景だが、
途中から場面が変わって水の中の魚たちの対話になる。
「今日はヘタなやつばかりだなあ…」などと。
二ページにわたるさし絵が二ケ所。
「水中の一」は釣り師のおろした仕掛けにワッと群がる
小さなエサ取りたち。狙う大魚はせせら笑っている
…という絵。
そして「水中の二」が問題の作品である。大きなコイとフナ、
それに両てんぴんの仕掛けなどが正確に描かれているが、
驚くのは絵の下三分の一ほど。欠けた茶碗や皿、折れた
クシやカンザシなど底も見えないゴミの山なのである。
上からは布切れがゆらりと落ちてくる。
この目をそむけたくなるような墨刷りの木版画は、
まぎれもなく我が国の公害告発の絵の第一号なのである。
楽しいはずの釣りの本になぜこのようなおぞましい絵を
描いたのであろうか。
錦亭鳴虫という人、おそらくは不要な物をポイポイと水に
捨てる日本人の悪いクセを、苦々しく思っていたに違いない。
そして「釣り場を大切に」というメッセージだったので
あろう。見事な見識というべきである。
(釣りコラム:水辺の賢者たち-1-金森直治)
http://www.zenturi-jofi.or.jp/coram/coram3_1.htm
より転載
http://vipsister.blog72.fc2.com/blog-entry-679.html
http://hamusoku.com/archives/3070250.html
歌川国芳 (Utagawa Kuniyoshi, 1798 - 1861)
国芳画/" target="_blank">国芳画
2010年11月24日 浮世絵ウキウキ! ~ホラー編~
by buttonde
| 2010-12-26 13:07
| 日本画
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