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風流荘風雅屋

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お上品を目指す、のんき節

ニートマスター ジョー 2

『カクテル紳士』
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表紙

1・2 夕方 街中の裏通り
3・4 通りを青年歩く
  青年「久々来たぞ~と」
5・6 雑居ビル BAR「Colourless」前
  青「ここだ」
7 青年、階段降りる
8 店内 ドアを開ける
  青「ちわ~」

1・2・3・4 店内 ジョーはカウンター内、
  奥の席に小藪、隣にボツで、
  3人共視線をドアに向ける
  ジョ「いらっしゃいませ」
5・6 ボ「おー、青年、ひさしぶり」
  青「また来ました」
7 小「来ると思ったよ」
  ボ「一ヶ月ぶりだね。どうなの仕事は」
  青年、ボツの隣に座る
  青「なんとか掃除のバイトにありつけました」 
8 ジョ「お久しぶりです。御注文をなんなりと」
  青「じゃあね、ジンフィズお願いします」

1 青「マスターも慣れましたか?」
  ジョ「ええまあ、日々勉強ですね」
2 ジョ「しかし、失敗は成功の元、だから反省はしない」
  グッ
  青「いや、反省はしなよ」
3 ジョ「ジンフィズです」
4 ジョ「いかがで?」
  青「・・・・うん、ジンフィズと思う。うまい」
5 青「だいぶ覚えた?」
  ジョ「もちろん、覚えてなんぼのバーテンダーです」 
6 ジョ「でも、すぐ忘れるのが玉に瑕(きず)ですね」
  青「それは覚えてないのでは・・・・」
7 ジョ「忘れてもすぐ調べる、学ぶ、プロの基本です」
  グッ
  青「自信はあるんだね・・・・」
8 小「プロといえばこないださ・・・・」




1 小「俺と同世代か、もっと上かな、
 老紳士が客に来てさ、若いの連れてな」
2 回想 老紳士と若い男性
  小「二人とも背広姿の落ち着いた雰囲気でさ、
 聞くともなしに会話を聞いたんだが」
3 回想
  若い男「マティーニは?」
  老「マティーニはあとで、マンハッタンだな」
4 若「レシピは?」
  老「任せるよ」
5 小「・・・・ひたすらカクテル談義なんだよ」
  ボ「ほう」
6 ボツ、ジョーに
  ボ「どんな人なの?」
  ジョ「いえ、会話に割り込むのも失礼と思って、
 何も聞けずじまいで・・・・」
7 ジョ「おそらく、ベテランバーテンダーと
 若いお弟子さんかと・・・・」
  ボ「師弟関係か。なるほど」
8 青「じゃあ、いろんな店を見て廻って
 参考にしてんのかな」
  ボ「なるほど」

1 ボ「ん~、でもカクテル好きの親子もありえるし
 ・・・・あれだ、親父の店を継ぐために息子が修業中とか」
  小「俺の考えはそれとは違ってさ」 
2 小「これ」 新聞を差し出す
  ボ「?」
3 新聞の見出し
  ボ「“ファッション界の女王・ブランド・ケメコ死す”」
4 ボ「自宅の階段を踏み外し、頭部を強打して
 倒れているところを、朝自宅に来たお手伝いさんに
 発見され、病院に運ばれるが既に死亡・・・・」
5 小「それが二日後の事件だ」
  ボ「うん?」
6 小「ケメコは業界の顔だけでなく、黒い交際も
 噂されていた奴だ。政財界だけでなく、
 敵対する国の団体やら暴力団やら宗教団体やら」
7 小「奴がかなりの額をばら撒いていたらしいんだよ。
 無論、客にもなってもらっていただろうがね。
 つまりは反体制だ」
8 小「マティーニはカクテルの王様、マンハッタンは
 カクテルの女王っていうだろ」
  ボ「あー、聞いたことある」

1・2 小「で、老紳士が最後に頼んだのが、
 ブラッディ・メアリーなんだよ」
  ボ「なんだっけそれ」
  青「ウォッカとトマトジュースのカクテル」
3・4 小「十六世紀頃、熱心なカトリック信者である
 イングランド女王メアリー1世は、プロテスタントを
 迫害弾圧して、女性や子供も含む約三百人を処刑したんで
 『ブラッディ・メアリー』と呼ばれたそうでね。
 つまり“血まみれ女王”だ」
4 ボ「てことは・・・・?」
  小「ケメコは頭部を強打して
 ブラッディ・メアリーだったと」
5 ボ「シャレ? なーんだ、真面目に聴いてたのに」
  小「だからさ、あの老紳士が若いのにさりげなく
 指示してたのかなーなんてさ」
6 ボ「つまり、マンハッタンを
 ブラッディ・メアリーにしろ、と?」
  小「彼女は何か秘密を知って、消されたかなーと」
  青「殺し屋・・・・?」
7 ボ「それは推測? 小説のアイデア?」
  小「話になりそうだろ」
8 ボ「なんだよ~、マジかと思ったよ~」 

1 小「噂をすればなんとやらだ」
  4人、ドアに注目
2 背広姿の老紳士と若い男が
  老「こんばんは」
3・4 2人、席について
  老「ふ~、汗かいたね。ジントニックいただこうかな。
 君は?」
  若「では、モヒートを」
5 老「バーボンはどうだね」
  若「なんとか大丈夫です」
6 老「スコッチは」
  若「最近は弱いですね」
7 ボツ、小藪に小さく
  ボ「カクテル話じゃないね」
  小「・・・・」
8 ジョー、老紳士に
  ジョ「・・・・あのう、もし同業の先輩でしたら、
 新米のボクに御教示頂けませんでしょうか」

1 外の看板
  老「あ~、そういうことでしたか」
  ははははと老紳士の笑い声
2 老「いやいや、それは失礼しました、
 つい話に夢中になってしまって」
3 老「私どもは清掃業をやってましてね、
 時々若いのと飲みに行ってるんですよ」
4 老「社員とカクテルパーティーをやることも
 あって、もっぱら酒の話ばかりになりましてね」
5 ジョ「てっきり同業者と思ってました」
  老「あ~、紛らわしくて申し訳ない」
6 ボツ、小藪を指差して
  ボ「この人なんか殺し屋呼ばわりしてたんですよ」
  小「こらっ、話、アイデアだっての」
7 老「いや、たしかに仰る通りですな。悪人退治、
 仕置き人のように行けたら痛快でしょうね」
8 老「うちは最近始めたばかりの零細でしてね、
 少数精鋭を気取ってますがね・・・・
 マティーニをお願いします」
10
1 老「あなた(青年)のとこは大手でしょう?
 いや~、競争が激しいですなあ・・・・」
2 老「そうだ、マスター、カクテルを作る上で
 何か気をつけることはありますか?」
3 ジョ「そうですね・・・・基本をしっかり覚えて
 自己流を避けるとか・・・・」
  ボ・青「プ」
4 ジョ「なんですか?」
  ボ・青「いや、なんでもない」
5 ジョー、老紳士にマティーニを出し、
  ジョ「でも、創意工夫は当然、色々と試すのも
 カクテルの醍醐味と思います」
6 小「マスター、自己流で試していいのか悪いのか
 どっちだい?」
7 ジョ「・・・・自己流大いに結構、
 カクテルの新境地を開拓すべし! です」
  ボ「おー、言い切った!」
8 老「よかった、そうですよね。スタンダードを守る一方、
 常に新しく生まれているのがカクテル。温故知新ですね」
11
1 ジョ「うんこちんちん?」
  小「温故知新。故きを温(たず)ねて、新しきを知る」
2 老紳士と若者、席を立ち、
  老「今日は常連の皆さんとも知り合えて楽しかった。
3 老「また寄らせて下さい。それじゃお先に。
 おやすみなさい」
4 ボ「俺もバイトしようかな」
  小「ほんとはどうなの?」
5 ボ「働かざるもの、気楽なりけり」
  小「だろうね」
6 小「出し抜いて就職しようなんて思うなよ」
  ボ「それはお互い様でしょ!」
  青「・・・・俺、帰る」
7・8 小「青年、また来いよ。無職になったら
 おごってやるよ」
  ボ「じゃあ俺は、タバコ一本プレゼント!」
  青「うれしくない」 吸わないし
12
1・2 夜の街中一角
3・4 ワゴン車が止まっている
4 車内で若い男4人が話し合いの様子
5 ドアにノック音
6 男が窓ガラスを開ける
  外には老紳士と若者
7 老「パーティーは」
  男「マティーニで」
8 老「レシピは」
  男「手筈通り」
9 老「じゃあ、あとで連絡な」
  男「了解」
13
1・2 老紳士と若者を残し、走り去るワゴン車
3 2人、歩きながら
  若「バーボンはきついですね」
  老「ウォッカにでも変えるかね」
4 若「いえ、悪酔いしないよう気をつけます」
  老「うん、頼んだよ」
5・6 夜の都市遠景
  老「大掃除はこれからだ」
7・8 夕方 カラーレス前
14
1・2 店内 小藪が帽子を取りつつ
  小「おめえ一人か」
  ボ「いつものことで」
3 ボ「昨日のアイデアは活かすの?」
  小「あー、保留だな」 席に着く
4 小「そっちはどうよ」
  ボ「表紙は増えたなあ」
5 小藪、新聞を見て
  小「イラストレーターだっけ、がんばれよ」
  ボ「漫画家です」
6 新聞
  小「財界のドン、急死か」 
7 小「ホテルで心不全、自殺ではなく事件性無しか」
8 小「こいつも国賊同然だったが、ようやくだな」
  ボ「国賊なんてまだまだいるでしょ」  
15
1 小「まったくだ。特に政治家は選ぶ奴がいるからな」
  ボ「民主国家様様ですネ」
  青「こんばんは」
2 ボ「あれぇ? 珍しいね。昨日の今日だよ」
  青「収入が増えれば回数も増えます」 
3 青「浮世の一角を掃除してきましたよ」着席
  ボ「お疲れ様でござんす」
4 小「ついでに何人か掃除してくんねえかな。
 政治家でもヤクザでも宗教家でも。おごってやるよ」
  青「・・・・割り合わなそうですね」
5 青「三人でやりますか。
 ここをアジトにカレーラス暗殺団!」 
6 小「俺は執筆が忙しいんだよ」
  ボ「俺もネタ考えないとネ」
7・8 ボ「ま、それぞれ御役目で行きましょう」
  かんぱい!
  ジョ「三人寄れども無理は無理」グッ

                    終



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by buttonde | 2014-06-19 12:18 | | Trackback | Comments(0)
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