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風流荘風雅屋

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お上品を目指す、のんき節

怖い絵本 4

2017年06月19日
トラウマにしかならない。恐怖で子どもに躾をうながす、
ドイツの絵本『もじゃもじゃペーター』の内容が
不気味すぎて怖い
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 「早く寝ないと鬼が来るぞー!」
「いうこと聞かないとお化けが来るよ」
と子どもの頃に言われたことはないだろうか?
ある意味これも恐怖支配である。

 ドイツでも恐怖によって子どもたちを躾けるという
むきがあったようだ。19世紀に発行されたハインリヒ・
ホフマンの子供向けの絵本もじゃもじゃペーター
(1845年)には、きちんとできない男の子がその結果、
悲劇の顛末を迎えるというお話なのだが、あまりにも
悲劇すぎてトラウマ化決定なのだ。
 その初版がニューヨーク公共図書館に所蔵されており、
ホフマン自らが彩色したオリジナルの挿絵が
公開されていた。

きちんとできないことで、
みんなから超絶嫌われていく

 『もじゃもじゃペーター』は、医師でもあった
作者のホフマンが書き綴ったのは不気味な寓話だ。
 主人公は、スープを飲まずに死んでしまう少年、
犬に噛み付かれ苦痛に身悶えする少年、指しゃぶりを
しすぎたために指を切り落とされてしまった少年
などである。
 もじゃもじゃペーターの罪は、絶対に爪を切らず、
風呂も入らず、髪も整えなかったことだ。
罰として誰からも嫌われた。
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希少な初版

 この本のオリジナルの題名は『Lustige Geschichten und
drollige Bilder mit 15 schon kolorirten Tafeln fur Kindervon
3–6 Jahren(3歳から6歳児のための、15枚の美麗に
彩色された滑稽な挿絵と愉快な物語)』であった。

 その貴重な初版はニューヨーク公共図書館に
所蔵されている。ここで紹介している挿絵は、
そこに掲載されているホフマン自らが彩色した
オリジナルである。

 図書館がこれを購入した1933年当時、現存する初版
として知られているものはわずか4部しかなかった。
 6つの物語で構成される絵本は15ページで、しかも
片側にしか印刷されていないごく薄いものである。
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ホフマンの3歳の息子へのクリスマスプレゼントだった

 ホフマンの言によると、本は3歳の息子へのクリスマス
プレゼントとしてまとめたものらしい。学者のウォルター・
ザウアーによって、ホフマンが子供の患者向けに長年に
わたり物語を書き綴ったことを示す証拠も発見されている。
そして当時のドイツ出版業界に顔のきく書籍クラブの
友人の勧めで、出版の運びとなった。

 初版は少なくとも1,500部、おそらく最大で3,000部が
刷られた。ホフマンが友人へ宛てた手紙には、だいたい
2年で完売し、増版が決まったことが記されている。

 2版からは徐々に改訂が加えられ、挿絵が変更されたり、
もじゃもじゃペーターが表紙になったり、
いくつか物語が追加されたりした。
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指しゃぶりがやめられない少年の末路

 根強い人気を博すようになり、1848年までには第6版、
計2万部が発行されていた。最も有名な物語は
「指しゃぶり小僧の話」だ。

 コンラッドという少年には指をしゃぶる癖があり、
止めないと指を切り落とされてしまうと
母親から注意されていた。

 しかしどうにも我慢できず指しゃぶりをしてしまうと、
仕立て屋が現れて指を切られてしまう。この不気味な
仕立て屋はすぐに教会のカノンに登場するようになり、
さらにW・H・オーデンの詩やティム・バートンの
『シザーハンズ』をはじめとするさまざまな作品でも
取り上げられた。
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いけないことをした子どもには容赦ない描写

 ホフマンは登場人物の子供に容赦なかった。
いけないことをした子供は必ず罰を受けている。
「残酷なフレデリックの話」のフレデリックは動物を
いじめてばかりで、ハエの羽をむしったり、
鳥を殺したり、猫を階段の下に落としたりしていた。
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 しかし犬に乱暴したことで逆に噛み付かれ、
怪我をして寝込む羽目になる。
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 犬は怒られるどころか、
少年の夕食にありつく始末だった。
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 ほとんどの物語の主人公はいたずら好きな子供である。
 しかし野ウサギが主人公である話もある。
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 「乱暴な狩人の話」では、ある狩人がうっかり野原で
眠ってしまう。そこで獲物であるはずの野ウサギは銃を盗み、
狩人を狩ることにした。その後のドタバタで、
野ウサギの子供がコーヒーで火傷をすることになる。
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 物語はいずれも時代に左右されない内容を持つ。
指しゃぶりが止められない子供、動物をいじめる子供、
夕食を食べない子供はいつの時代にもいる。

 が、「真っ黒な男の子たちの話」は少々違う。
これは3人の白人の少年たちが黒人の少年を肌の色を
理由にいじめる話である。

 この物語は現代版では削除されている。
挿絵に描かれる子供たちは、白人の少年が服を
着ているのに対し、黒人の少年は腰巻姿で、
人種差別的な表現である。

 黒人の少年の肌の色をからかった少年たちは実際罰を
受けているのだが、その罰は黒いインクに浸されて
黒く染められるというものだった。

 この話の教訓は違いを受け入れることを学ぶべし
だったのかもしれないが、黒人であることを
汚名として扱っているのだ。
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 本は何年にもわたり手を加えられ、シンプルだった
挿絵はどんどんと豪華で、緻密なものになっていった。

 最初は手で彩色されていたが、すぐにカラー印刷に
変わる。それでも初版は魅力に溢れ、かつ恐ろしく
ぞっとするものだった。

 今日ですら、もじゃもじゃペーターや仕立て屋は
鮮烈な印象を与える。19世紀当時のドイツの
子供たちに与えた影響は想像にかたくない。

【絵本】もじゃもじゃペーター Struwwel-Peter

 もじゃもじゃペーターは「ぼうぼうあたま」として
日本でも翻訳され出版されているので、
興味のある人は見てみるといい。
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ぼうぼうあたま―
ちいさいこどものおもしろいはなしとおかしなえ
(子どもの近くにいる人たちへ)


via:babel.hathitrustThe 19th-Century Book of
Horrors That Scared German Kids Into Behaving

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http://karapaia.com/archives/52241026.html
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by buttonde | 2017-06-20 00:31 | 西洋画 | Trackback | Comments(0)
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