北斎展他
2017/06/21
代表作、戯画など50作品!巨匠・葛飾北斎の画業に迫る
「世界が絶賛した浮世絵師 北斎展」開催
Japaaan編集部@
ユニークな企画展が続々登場する東京・池袋の
パルコミュージアムで、浮世絵師・葛飾北斎の展覧会
「世界が絶賛した浮世絵師 北斎展 ~冨嶽三十六景・
エッフェル塔三十六景の共演~」
開催されることとなりました。
冨獄三十六景 凱風快晴/ 葛飾北斎
日本人なら誰もが目にしたことのある、浮世絵の名作を
生み出した巨匠・葛飾北斎。江戸時代後期に活躍した
北斎は、現代でも世界的に揺るぎない人気を誇っています。
同展では、北斎の代表作「冨嶽三十六景」をはじめとする、
「東海道五拾三次」などのシリーズもの、妖怪絵、
戯画などの50作品を展示。北斎の偉大な画業の全貌を
ぎゅっとまとめて紹介します。
百物語 こはだ小平二/ 葛飾北斎
百物語 さらやしき/ 葛飾北斎
冨獄三十六景 甲州石班沢/ 葛飾北斎
冨獄三十六景 尾州不二見原/ 葛飾北斎
今回の展覧会での注目ポイントは、フランスのシンボル
の一つであるエッフェル塔と富士山との夢の共演。
浮世絵に描かれた「富士山」と「エッフェル塔」の
2つの三十六景が、同時に堪能できるという、
独自の視点での展示です。
エッフェル塔モチーフの浮世絵を制作したアンリ・
リヴィエール(1864-1951)は、フランスの浮世絵師とも
呼ばれる、ジャポニスムの影響を大きく受けた画家・
版画家。浮世絵に心酔したリヴィエールは、北斎や
広重らの浮世絵を収集し、独学で木版画技術を習得、
冨嶽三十六景にちなんで作られた
「エッフェル塔三十六景」を発表しました。
エッフェル塔三十六景 建造のエッフェル塔、
トロカデロからの眺め/アンリ・リヴィエール
冨獄三十六景 神奈川沖浪裏 / 葛飾北斎
「エッフェル塔三十六景」は、建築途中のエッフェル塔を
パリ市内のいろいろな場所から捉えたもの。パリの風景が
浮世絵で描かれた不思議な雰囲気の風景は、
なんともいえない魅力にあふれ、つい見入ってしまいます。
同展ではリヴィエールをはじめ、ヨーロッパの
アーティストたちに大きな衝撃と影響を与えた「北斎漫画」
も展示。北斎が高く評価された要因を様々な角度から
検証し、未だ衰えぬその人気の秘密に迫ります。
世界が絶賛した浮世絵師 北斎展 ~冨嶽三十六景・
エッフェル塔三十六景の共演~
会場:パルコミュージアム 池袋パルコ・本館7F
会期:2017/06/30 (金) -2017/07/17 (月)
10:00~21:00※最終日は18:00閉場
/入場は閉場の30分前まで
入場料:一般700円/学生500円/小学生以下無料
http://mag.japaaan.com/archives/57368
2017/06/24
お歯黒べったり、ぬっぺほふ、うわん
…人を驚かせるのが大好きな妖怪たち
阿部裕子@
驚かすのが好きな妖怪
妖怪にもさまざまなタイプがありますが、人間に危害を
加えないけれど、驚かすのが大好きな妖怪も
多かったようです。
お歯黒べったりは、名前の通りお歯黒をべったりつけた
妖怪で、目鼻がなく口だけ。それで真っ黒に染まった
歯が覗いていれば、インパクト抜群。驚くこと
間違いなしですね。お歯黒べったりは、
全国に出没しました。
絵本百物語「歯黒べったり」
お歯黒つながりで、もう一つ。青森に出現した、うわんです。
お歯黒をした鬼のような姿で、墓場や廃屋に潜り込み人が
通りかかると「うわん」と叫んで驚かせるのが、特徴です。
「うわん」と言い返したらいいそうですよ。
百怪図巻「うわん」
人前に突然現れて驚かす妖怪には、こんなものも。
大阪府南部に出たといわれる白坊主です。目・鼻・
口がなく、まるで白い風船のよう。のっぺらぼうの仲間で、
かすりの着物を着ていたとか。黒坊主というのもいて、
こちらは深夜に現れて人の寝息を吸って
口を舐める妖怪です。
突然姿を変えちゃう妖怪たち
人に近づいてから、相手が油断したら本当の姿をみせて
驚かせるタイプの妖怪もいます。例えば、徳島県の
糸引き娘。美しい娘の姿で、道端で糸車を回しています。
それに惹かれて人が近づくと、とたんに白髪の老婆に
変身してカラカラと笑うそう。
ぷよぷよした肉の塊に手足が出ているような姿の
ぬっぺほふも姿を変えて驚かす妖怪。最初は人間のふりを
して近づき、親しげに会話をかわして相手が油断した頃に、
本当の姿をみせて驚かせるとか。のっぺらぼうの原型や
仲間という説もあるぬっぺほふは、とにかく臭いが
すごくて、通った後には悪臭が残るそうです。
百怪図巻「ぬつへつほう」
福島県会津地方に出現する朱の盤も、同じタイプの妖怪
でした。顔も目も真っ赤の、大きな朱色の盤のような顔に
なって驚かします。さらに額には一本の角、髪は針のようで
口は耳まで切れているというから、かなり怖いですね…。
皆さんご存知の妖怪砂かけ婆も、人を驚かせるのが好き
でした。木に登って、夜な夜な木の下を通る人間に砂を
かける…のでなく、砂をかける音だけ。なんで、
音だけなのかは定かではありませんが、奈良県や兵庫県に
出没。砂かけ婆の仲間には、砂かけ狸や砂降らしがいました。
突然現れるだけでも驚くのに、人の姿で普通に会話してから
の変身は、より驚きが増しますよね、きっと。それにしても、
妖怪と人間がおしゃべりしている様子って、どんな感じ
なんでしょう。その様子を、そっと覗いてみたくなります。
http://mag.japaaan.com/archives/57274
2017/06/26
がしゃどくろや送り狼…
現実世界から異世界へ移行する夜、
妖怪たちは動き出す
阿部裕子@
妖怪は、境界を好んで出没すると言われていました。
例えば、あたりが暗くなってくる時間帯は、ちょうど
現実世界から異世界へ移行する時間帯で、まさに境界
だったのです。人を驚かすのも妖怪たちは大好きで、
例えばこんな妖怪たちがいました。
歌川国芳『相馬の古内裏』
がしゃどくろ
10m超の人食い骸骨のがしゃどくろは、夜中になると
がしゃがしゃと音をたてながら現れます。野垂れ死に
した人たちのどくろが集まったものと言われ、
生前の恨みをはらそうと、人を見かけると驚かします。
釣瓶落とし
この妖怪も人を驚かすのが好きで、夜に人気のない
ところを通ると、木の上から鉄瓶などを落とします。
中には、人を釣り上げて食べてしまうものもいるとか。
人を食べても、おなかがすくと、また同じことを
繰り返すというから困ったものです。
送り狼
竜斎閑人正澄画『狂歌百物語』より
送り狼といっても、現代とはちょっと意味が違うのです。
夜の山道を歩いているときについてくる狼のことで、
砂をかけて人を転ばせたりと悪さをすることも。
もし転んでも、落ち着いて煙草をすったら大丈夫と
言われていました。青梅では、送り狼が人に声をかけて
くるとか。そこで振り返らなければ何も怒らず助かるの
ですが、もし振り返ったら?あっという間に
食い殺されてしまうとか。
これだけ聞くと送り狼は、悪いイメージになって
しまいますね。でも実は送り狼がいるから、
ほかの魔物に襲われないというメリットもあるのです。
飛縁魔(ひのえんま)
竹原春泉画『絵本百物語』より
この妖怪は夜の町に現れるのですが、絶世の美女なので、
きっと男性はことごとく魅了されてしまうのでしょう。
男の血を吸って殺してしまいます。
黒玉
夏の夜と季節限定ですが、人が寝入った頃のこと。
蚊帳の中に入り足とまったら、体をつたい胸を押さえつけて
苦しめてしまう妖怪です。寝ているときは無防備なもの。
そんなときに襲われるって、恐怖ですよね。
赤抱かしょ
山形県の街道の辻に現れる女の霊で、夜にここを歩くと
「赤抱かしょ(赤ちゃんを抱いて)」と赤ちゃんを
差し出してきます。後ろ向きに抱けば、何もされません。
もし、後ろ向きに抱かなかったら魂を抜かれると
恐れられていました。
牛打坊
これは、牛に被害を及ぼす妖怪です。夜中に牛小屋に
入って、牛にわずかな傷をつけて殺してしまいます。
ただじっと見るだけでも、家畜は病気になって
しまうとか。狸に似ており、徳島県で知られています。
夜は、いろんな妖怪が出てくるのですね。そして、
人を驚かしたり血を吸ったりと、飼っている牛が
殺されてしまったりと、妖怪に翻弄される人々も
きっと多かったのでしょう。
参考文献:江戸武蔵野妖怪図鑑 山口敏太郎,
絵でみる江戸の妖怪図巻
http://mag.japaaan.com/archives/57095
代表作、戯画など50作品!巨匠・葛飾北斎の画業に迫る
「世界が絶賛した浮世絵師 北斎展」開催
Japaaan編集部@
パルコミュージアムで、浮世絵師・葛飾北斎の展覧会
「世界が絶賛した浮世絵師 北斎展 ~冨嶽三十六景・
エッフェル塔三十六景の共演~」
開催されることとなりました。
日本人なら誰もが目にしたことのある、浮世絵の名作を
生み出した巨匠・葛飾北斎。江戸時代後期に活躍した
北斎は、現代でも世界的に揺るぎない人気を誇っています。
同展では、北斎の代表作「冨嶽三十六景」をはじめとする、
「東海道五拾三次」などのシリーズもの、妖怪絵、
戯画などの50作品を展示。北斎の偉大な画業の全貌を
ぎゅっとまとめて紹介します。
今回の展覧会での注目ポイントは、フランスのシンボル
の一つであるエッフェル塔と富士山との夢の共演。
浮世絵に描かれた「富士山」と「エッフェル塔」の
2つの三十六景が、同時に堪能できるという、
独自の視点での展示です。
エッフェル塔モチーフの浮世絵を制作したアンリ・
リヴィエール(1864-1951)は、フランスの浮世絵師とも
呼ばれる、ジャポニスムの影響を大きく受けた画家・
版画家。浮世絵に心酔したリヴィエールは、北斎や
広重らの浮世絵を収集し、独学で木版画技術を習得、
冨嶽三十六景にちなんで作られた
「エッフェル塔三十六景」を発表しました。
トロカデロからの眺め/アンリ・リヴィエール
「エッフェル塔三十六景」は、建築途中のエッフェル塔を
パリ市内のいろいろな場所から捉えたもの。パリの風景が
浮世絵で描かれた不思議な雰囲気の風景は、
なんともいえない魅力にあふれ、つい見入ってしまいます。
アーティストたちに大きな衝撃と影響を与えた「北斎漫画」
も展示。北斎が高く評価された要因を様々な角度から
検証し、未だ衰えぬその人気の秘密に迫ります。
世界が絶賛した浮世絵師 北斎展 ~冨嶽三十六景・
エッフェル塔三十六景の共演~
会場:パルコミュージアム 池袋パルコ・本館7F
会期:2017/06/30 (金) -2017/07/17 (月)
10:00~21:00※最終日は18:00閉場
/入場は閉場の30分前まで
入場料:一般700円/学生500円/小学生以下無料
http://mag.japaaan.com/archives/57368
2017/06/24
お歯黒べったり、ぬっぺほふ、うわん
…人を驚かせるのが大好きな妖怪たち
阿部裕子@
妖怪にもさまざまなタイプがありますが、人間に危害を
加えないけれど、驚かすのが大好きな妖怪も
多かったようです。
お歯黒べったりは、名前の通りお歯黒をべったりつけた
妖怪で、目鼻がなく口だけ。それで真っ黒に染まった
歯が覗いていれば、インパクト抜群。驚くこと
間違いなしですね。お歯黒べったりは、
全国に出没しました。
お歯黒つながりで、もう一つ。青森に出現した、うわんです。
お歯黒をした鬼のような姿で、墓場や廃屋に潜り込み人が
通りかかると「うわん」と叫んで驚かせるのが、特徴です。
「うわん」と言い返したらいいそうですよ。
人前に突然現れて驚かす妖怪には、こんなものも。
大阪府南部に出たといわれる白坊主です。目・鼻・
口がなく、まるで白い風船のよう。のっぺらぼうの仲間で、
かすりの着物を着ていたとか。黒坊主というのもいて、
こちらは深夜に現れて人の寝息を吸って
口を舐める妖怪です。
突然姿を変えちゃう妖怪たち
人に近づいてから、相手が油断したら本当の姿をみせて
驚かせるタイプの妖怪もいます。例えば、徳島県の
糸引き娘。美しい娘の姿で、道端で糸車を回しています。
それに惹かれて人が近づくと、とたんに白髪の老婆に
変身してカラカラと笑うそう。
ぷよぷよした肉の塊に手足が出ているような姿の
ぬっぺほふも姿を変えて驚かす妖怪。最初は人間のふりを
して近づき、親しげに会話をかわして相手が油断した頃に、
本当の姿をみせて驚かせるとか。のっぺらぼうの原型や
仲間という説もあるぬっぺほふは、とにかく臭いが
すごくて、通った後には悪臭が残るそうです。
福島県会津地方に出現する朱の盤も、同じタイプの妖怪
でした。顔も目も真っ赤の、大きな朱色の盤のような顔に
なって驚かします。さらに額には一本の角、髪は針のようで
口は耳まで切れているというから、かなり怖いですね…。
皆さんご存知の妖怪砂かけ婆も、人を驚かせるのが好き
でした。木に登って、夜な夜な木の下を通る人間に砂を
かける…のでなく、砂をかける音だけ。なんで、
音だけなのかは定かではありませんが、奈良県や兵庫県に
出没。砂かけ婆の仲間には、砂かけ狸や砂降らしがいました。
突然現れるだけでも驚くのに、人の姿で普通に会話してから
の変身は、より驚きが増しますよね、きっと。それにしても、
妖怪と人間がおしゃべりしている様子って、どんな感じ
なんでしょう。その様子を、そっと覗いてみたくなります。
http://mag.japaaan.com/archives/57274
2017/06/26
がしゃどくろや送り狼…
現実世界から異世界へ移行する夜、
妖怪たちは動き出す
阿部裕子@
例えば、あたりが暗くなってくる時間帯は、ちょうど
現実世界から異世界へ移行する時間帯で、まさに境界
だったのです。人を驚かすのも妖怪たちは大好きで、
例えばこんな妖怪たちがいました。
がしゃどくろ
10m超の人食い骸骨のがしゃどくろは、夜中になると
がしゃがしゃと音をたてながら現れます。野垂れ死に
した人たちのどくろが集まったものと言われ、
生前の恨みをはらそうと、人を見かけると驚かします。
釣瓶落とし
この妖怪も人を驚かすのが好きで、夜に人気のない
ところを通ると、木の上から鉄瓶などを落とします。
中には、人を釣り上げて食べてしまうものもいるとか。
人を食べても、おなかがすくと、また同じことを
繰り返すというから困ったものです。
送り狼
送り狼といっても、現代とはちょっと意味が違うのです。
夜の山道を歩いているときについてくる狼のことで、
砂をかけて人を転ばせたりと悪さをすることも。
もし転んでも、落ち着いて煙草をすったら大丈夫と
言われていました。青梅では、送り狼が人に声をかけて
くるとか。そこで振り返らなければ何も怒らず助かるの
ですが、もし振り返ったら?あっという間に
食い殺されてしまうとか。
これだけ聞くと送り狼は、悪いイメージになって
しまいますね。でも実は送り狼がいるから、
ほかの魔物に襲われないというメリットもあるのです。
飛縁魔(ひのえんま)
この妖怪は夜の町に現れるのですが、絶世の美女なので、
きっと男性はことごとく魅了されてしまうのでしょう。
男の血を吸って殺してしまいます。
黒玉
夏の夜と季節限定ですが、人が寝入った頃のこと。
蚊帳の中に入り足とまったら、体をつたい胸を押さえつけて
苦しめてしまう妖怪です。寝ているときは無防備なもの。
そんなときに襲われるって、恐怖ですよね。
赤抱かしょ
山形県の街道の辻に現れる女の霊で、夜にここを歩くと
「赤抱かしょ(赤ちゃんを抱いて)」と赤ちゃんを
差し出してきます。後ろ向きに抱けば、何もされません。
もし、後ろ向きに抱かなかったら魂を抜かれると
恐れられていました。
牛打坊
これは、牛に被害を及ぼす妖怪です。夜中に牛小屋に
入って、牛にわずかな傷をつけて殺してしまいます。
ただじっと見るだけでも、家畜は病気になって
しまうとか。狸に似ており、徳島県で知られています。
夜は、いろんな妖怪が出てくるのですね。そして、
人を驚かしたり血を吸ったりと、飼っている牛が
殺されてしまったりと、妖怪に翻弄される人々も
きっと多かったのでしょう。
参考文献:江戸武蔵野妖怪図鑑 山口敏太郎,
絵でみる江戸の妖怪図巻
http://mag.japaaan.com/archives/57095
by buttonde
| 2017-06-27 07:08
| 日本画
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